ホテルディナーショーには行くな! 

dinner Show ディナーショー
ディナーショーは時代遅れ

昭和から平成と各ホテルで開催されたディナーショーの裏側を知れば、あなたから「ディナーショーへ行く」という選択肢は無くなるでしょう。

1.ライブとディナーショーの違い
ディナーショーはライブと違ってステージと客席が近く、客席をラウンドしてくれる方もいますのでスターが間近に感じられます。

では、今をときめくバンドやトップアイドルがディナーショーをやらないのは何故なのでしょうか?
それはそのアーティストが独自の力で「1万人、3万人を呼べる」ため、ディナーショーのギャラ(30万から2500万円)で受ける意味がないためです。(ライブの方が断然利益が出る)

ファンクラブ限定で高額ディナーショーを開催するアーティストもいますが、ファンクラブ内で売り切れるため巷には出回ってきません。

また、ディナーショーはホテルの設備を使うため天井高や消防法などに縛られ演出が貧弱になってしまうので、体感する臨場感や開演前の余韻など感動はライブにはかないません。
食事が付いている点がメリットでもありますが、その分ショーも食事時間も短いです。

2.箱とギャラ
宴会場の事を業界では「箱」と表現します。その箱、宴会場の大きさからディナーショーのステージサイズを引いた残りの場所が客席となります。
そこに「何席」用意する事ができるかでディナーショーに呼べるエンターティナーが決まります。
ステージが大きければ客席数が少なくなるため、客席数が確保できないなど収支的に折り合いがつかない場合があり、食事や演出宣伝の経費とギャラを足して、何人集客しなければならないかを割り出しします。
チケットの販売価格は、スターの人気で決まるわけでは無く、ホテルの裁量で決めることができますが、高すぎれば売れませんし、スター側からチケットの上限を設定している方もいます。(大御所のチケット金額を超えてはいけない暗黙のルールもあります。)

.ギャラと出演交渉
もしあなたが大御所の演歌歌手だったり、スーパーロックバンドだったら、1,000万円のギャラで400〜500人相手にディナーショーをやりますか?という事なんです。
出演するかしないかはエンターテイメント側に裁量があります。
かつて人気だったスターがディナーショーをすれば、「ディナーショー歌手」というレッテルが付き、歌手にとっては抵抗感があるそうで、ホテル側が呼びたくてもOKを頂くまでには条件があります。
しかし、知名度の弱いスターはホテル側に裁量があります。


・日程
ディナーショー歌手で全国を回るスターの場合、東京から順番に九州まで行ける日にち(移動日、設営日含む)が合わないとOKが出ません。(ステージを運ぶトランスポータを、ルート的に行ったり来たりさせるのにコストが掛かる)
ホテル側は、ディナーショーより一般宴会の方が利益が出るので、ディナーショー用に空けられる日が限られ、スターの日程に合わせられない。(ホテル側からこの日が空いていると打診する)

・条件
ライブをやっているスターの皆さんがディナーショー候補というわけではなく、ホテルの宴会場に入るディナーショー用サイズのステージを持っているスターしかディナーショーができないという現実があり、ショーのセットは数千万円かかるので(組立〜バラシ〜運搬が可能なコンパクトな設計)、その用意のあるスターの方にしか依頼ができません。
(トークやマジックショーなど、ホテル備品のステージで開催できる方は可能)
それと、ホテル搬入時の裏動線に寸法制限がある事と、宴会場までのエレベーターの寸法、そして電源の確認などチェック項目がいくつもあります。
また、ステージなどを運ぶトランスポーターが10トン車など荷捌き場に入庫できない場合は、2トン車に積み替えてピストン輸送するなど費用が別途かかります。(ショー終了翌日まで10トン車を駐車スペースの確保など。)

したがってクリスマスディナーショーなどは、歌手の顔ぶれに変化がないのはそのためです。


・スターの性格
エンターティナー自身にホテルの好き嫌いかあります。(あのホテルではやらない等)そしてスイートルームの用意、その他ミネラルウォーターやワインの銘柄指定、部屋の窓や光、レイアウトの指定、スタッフの食事など条件合わせが多々あり、その条件を受け入れなければ開催に至りません。

矢沢永吉さんの名言で、マネージャーが矢沢さんに相談した話
スタッフ:「矢沢さん!今度のホテル、スイートルームが空いてなくてデラックスルームしかないのですが良いでしょうか?」
矢沢永吉「俺はいいけど矢沢はどうかな?」と。(スターのイメージがある))スターのわがままではなくイメージ作りの一面もあり、受け入れ難い条件を提示される方もいます。


また、反社会的勢力との付き合いはないか?違法薬物は使っていないか?なども確認します。
出演交渉に入る前に、料亭などで一席設けて気分を良くしてからじゃないと出演交渉ができないスターもいます。


・その他
ドタキャンする可能性の高いスターの場合、契約書にスター側のキャンセル条件が3ヶ月前まで無料という厳しい条件が入るスターがいます。
スターの都合で3ヶ月前にキャンセルされると、チケットは半年前から販売開始をしているのでお客さまへの対応や空いてしまった日程の売り上げ確保など、一般のサラリーマンでは開催できるか心配で耐えられないくらい厳しい条件の方がいます。
そしてギリギリの採算で開催しているのにスター側の関係者の無料席を要求されたり、会場の中にはスタッフ以外で無料で見ている人が存在し、明らかに雰囲気が違うお客さまがいるので、顧客からクレームが入る事もあります。

4.チケットは座席指定が出来ない。
どんなに早くチケットを購入しても、長年のファンであることを主張しても、一列目や2列目などの良い席は、ホテルの常連客やホテル独自の会員制度のメンバーに割り当てられます。
要するにディナーショーは日頃の顧客に対するサービス的意味合いがあります。一般の方がディナーショーチケットをいち早く買ったとしても、後ろから数えた方が早い席しか用意されないのが現状です。

5.料理に期待してはいけない
前段で述べたようにチケット代に食事代とギャラが入っています。ディナーショーはギャラを払って、美味しい料理を出せるようなビジネスではありません。
料理原価を下げることで、かろうじてディナーショーが成り立つ状況ですので、料理メニューに期待してはいけません。
そして料理を楽しんでいる暇はありません。ショーの開演まで1時間30分ぐらいしかありません。
ショーによっては、1回のショーで、「先に食事してからショーを見る組」と、「ショーを見てから食事をする組」とに分かれて開催する形式の場合、さらに食事時間は短く設定されます。


6.なぜディナーショーに需要があったのか?
ちょっとしたパーティーはディナーショーだったから。
日本は着飾っていくところが無い!だから、ショーが目的では無く庶民の見栄を張る場がディナーショーだったと言う側面がありました。
また、歳をとるにつれて、、ライブなどのスタンディングは疲れるから、食事付きでゆっくりエンターテイメントを楽しみたいという需要もあります。


ホテルは需要があるからディナーショーを開催していたのでは無く、売上のために開催し、そもそも完売しないため顧客や企業にお願いして買ってもらっているのが現状です。
全く需要がないかと言えばそうではなく、年配顧客の暇つぶしや、チケットクラブ会員のポイントの使い道がなく、そのポイントで孫と一緒に行けるショーを購入するという需要が存在します。
しかし、そのようなポイントでの使い道は、子供の知育学習になるようなトークショーなどに人気がありますが、ショーに料理代がついているので割高感は否めません。
そもそも、ハウジングセンターや温泉施設などで、ショーが無料で楽しめるところがたくさんあるので、高い料金を払ってディナーショーを見る方は減っています。

まとめ
そもそも、本当にディナーショーに需要があったわけではなく、ホテル側が売上を上げるために開催していた側面があり、料理もほどほど、ショーも短めで、大半はホテル納入業者に買わせたり、ホテル顧客へ「良い席を用意する」暗黙の了解で販売しており、一元さんが購入すれば、座席は後方の残念な席になります。

このように、ホテルにとってディナーショーは、業者販売と、顧客に対して販売しているため、一元さんにとっては良い席は取れないし、料理はまずいし、ショーも中途半端。ディナーショーをする歌手も限られており、顧客も高年齢化しディナーショーは過渡期に入っております。


コロナ禍で大打撃を受けているホテル業界は、リストラやコスト削減に躍起になってサービスの質は落ちており、全国旅行支援や訪日外国人観光客の受入れ取り返そうとで頭がいっぱい。
そんな中で起こった名古屋観光ホテル「丘みどりディナーショー」が、ダブルブッキングで当日中止になった事故は、まさにリストラや社内の混乱から起こったあり得ない事故で、予約しているお客様にも心配も与えています。

資金に余裕があり、食事をかねて娯楽的に楽しみたい年配の方や、着飾って出かけたいセレブ風の方に需要がありましたが、感染症や昭和世代から平成世代に変わりつつある今、ディナーショーの衰退が止まりません。
エンターテイメントが多様化している今、ディナーショーは役目を終えた気がします。

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